帰ってきた書記長のひとりごと

昔の名前で再び始めてみようと思います。

【掘り起こし記事】2004 My Best Disc(classic)

およそ16年前(!)にしたためていたweb日記(ながらくその存在も、よって当然パスワードも忘れていた)へのアクセスが、ちょっといろいろ頑張ってみたら成功してしまったので、おもしろ半分懐かしみ半分でめぼしい記事を折に触れて再掲してみたい。

 

↓↓↓ 今回の再掲記事は、以下からになります ↓↓↓

 

 

-大澤壽人(おおざわ・ひさと):ピアノ協奏曲第3番、交響曲第3番(〜NAXOS日本作曲家選輯」シリーズより)
--演奏:エカテリーナ・サランツェヴァ(p)、ドミトリー・ヤブロンスキー指揮、ロシア・フィルハーモニー管弦楽団

--まずは、現在に至るまで、そのリリースにそれなりのスパンは持ちつつもシリーズが途絶えることなく進行中であることを大いに喜びたい。そして、このプロジェクトの企画立案から実現化(商品化)に至るまでに取り組んでおられる関係者の各位に限りない賞賛とエールとを表したい。
--この「日本作曲家選輯」のシリーズでは、今年(2004年)は3点のリリース(3人の作曲家の作品集)があった*1。それは、大澤壽人、芥川也寸志、諸井三郎、であったのだけれども、これら3点のリリースの中で、個人的に最も感銘深かったものが、この大澤壽人の作品集(NAXOS, 8.557416J)であった。どのディスクも、その内容的な意義深さには漏れが無いのだけれど、語弊を恐れずに言えば、その作曲家自体の存在の新発見度(再発見度)と楽曲の持つ魅力度の大きさとが、大澤作品集が(あくまで個人的主観だが)ずば抜けていたように思う。収録のピアノ協奏曲第3番(「神風」なる副題を持つ)は1938年の、交響曲第3番は1937年の作であるが、時に日本は“戦時”であり、その状況下における“西洋音楽媒体による芸術創作活動”の一端を垣間見るという観点としても興味深くはあるのだが、そうしたことを抜きに“純粋に”音楽作品として、この大澤作品で聴かれる“日本のいにしえ”と“西洋のモダーン”との融合(・・・とでも言おうか)、これは初めての耳にとっては新鮮で、衝撃的だった。楽曲構成の持つ“聴かせる巧さ”にも圧倒されるものがあり、実に感動した。演奏は、ピアノ独奏、オーケストラ、指揮者と、オール・ロシア勢によるものであるけれども、同曲異演が手元に無い以上何とも比較は出来ないが*2、全体的にスマートな印象を受けはするものの、技術的な高さを感じさせてくれる演奏で、表現もこれは“明快”な部類寄り、なのではないだろうか。健闘だと思う。当シリーズ恒例、片山杜秀氏執筆のライナーノーツは本作でも言わずもがなの必読モノで、これまで自分にとって未知といってもよい存在であった大澤壽人という作曲家について大いに勉強となるものであった。今年購入の新譜の中で、多くの意味で最も収穫大であった、と思える一枚が、このディスクであった。

 

 

 

(2004.12.31)

*1:“日本市場における”発売。リリース点数は私の記憶間違いが無ければ・・・^^;;。

*2:交響曲第3番にあってはこれが世界初録音とのこと。